『牧場(ぼくじょう、まきば)』とは、牛や羊や馬などの家畜を柵などで囲った屋外で“自由に放し飼い”にする施設のことをいいます。似たようなものに、牛、馬、鶏、豚などの家畜を“屋内で飼育する”養鶏場や養豚場などがありますが、これは牧場とはいわず畜産場と呼んでいます。因みに、最近になって牧場や畜産場の中には、そこで採れる産品や加工品を販売する目的や、或いはサラブレッドなどの競走馬を間近で見せる目的で、積極的に観光客を取り込む『観光牧場』と呼ばれる施設が増えています。

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クマ牧場とは?

クマ牧場とは、専ら世界中の様々な種類のクマを展示し或いはクマの芸を披露している、いわば“クマの動物園(テーマパーク)”のようなものです。基本的には、観光客に見せることを目的とした施設なので、いい方を換えれば『観光牧場』の一つの形態といえないこともありません。因みに、現在日本国内には7か所のクマ牧場があります。北海道以外にあるクマ牧場としては、秋田県の『阿仁マタギの里熊牧場』、岐阜県の『奥飛騨クマ牧場』、熊本県の『阿蘇カドリー・ドミニオン』の3か所です。これらは何れも『ツキノワグマ』を中心に、世界中の様々な種類のクマを展示飼育していますが、その中には勿論エゾヒグマも含まれています。一方、北海道にある4か所のクマ牧場は、『エゾヒグマ』を中心に展示飼育しているので、その点に最大の特徴があるといえます。

のぼりべつクマ牧場

このクマ牧場は、支笏洞爺国立公園の中にある登別市温泉町にありますが、クマ牧場の敷地内には『ヒグマ博物館』と『アイヌ生活資料館』が併設されています。登別温泉街の外れにあるロープウェイに搭乗して約7分、標高550mほどの“四方嶺(通称クマ山)”の山頂にクマ牧場があり、エゾヒグマを始めヒグマ、ツキノワグマ、エゾリス、エゾタヌキなど、北海道特有の動物たちが放養されています。因みに、ヒグマ博物館の屋上から眼下を眺めると、深い樹林の中に澄明で濃紺~青緑色に浮かび上がる『クッタラ湖』の優雅な姿が望めます。このクマ牧場は、1958年(昭和33年)北海道に生息する“野生動物の保護、観察、研究”などを目的に設立されましたが、当初はエゾヒグマ8頭の放牧からスタートしています。その後、世界中で初めて“ヒグマの多頭集団飼育”に成功し、人工繁殖や冬ごもりに関する実験を通し教育普及に努めています。開設当初の牧場内は土間に天然木が茂っていましたが、時が経つと土間には穴が開き、木は1本残らず枯れ果てしまったため、現在は全てコンクリート製の飼育場に作り替えられています。クマ牧場には、第1牧場、第2牧場、子熊牧場の3つがあり、全部で110頭を超えるヒグマが飼育されています。第1牧場には、いかにも巨大で獰猛(どうもう)そうなオスグマたちがいます。第2牧場には、オスグマより身体が小振りで愛嬌たっぷりなメスグマたちがいます。そして子熊牧場には、その年に生まれたばかりで縫いぐるみのような赤ちゃんグマたちがいます。因みに、オスたちばかりの第1牧場には、人がクマの群れの中から観察できる“ガラス張りのシェルター”が併設されていて、売店で求めた餌を『給餌器』から与えることが出来ます。両手を挙げると2mを超すような巨大なヒグマが餌を求めて窓の傍まで駆け寄ると、“思わず腰が引けて”まさに全身に鳥肌が立つような大迫力です。

昭和新山熊牧場

このクマ牧場は、支笏洞爺国立公園の中にある洞爺湖に程近い昭和新山の麓付近にあり、直ぐ近くには『有珠山ロープウェイ』の乗り場があります。有珠山の山頂駅からは、水蒸気が立ち昇る噴火口が望め、また眼下には支笏湖のほぼ全景を眺望することが出来ます。この施設には、大牧場、こぐまの幼稚園、クマのアパート、若クマ牧場があり、全部で100頭余りのヒグマが飼育されています。なお、大牧場には“ガラス張りの檻”に入る通路があり、檻の中からはガラス越しで間近にヒグマが観察できます。

北の森ガーデン・熊牧場(大雪山ベアーセンター)

このクマ牧場は、旭川市からJR石北本線に沿って車で約1時間、大雪山国立公園の中にある層雲峡温泉で有名な上川町にあります。この牧場で飼育しているヒグマは、全部で20頭ばかりでそう多くはありません。しかし、その反面、頭数が少ないからこそクマ同士がけん制し合うことなく、何かのんびりと健やかに暮らしているように見受けられます。また、展示施設の床や壁などは非常に清潔感があって、如何にも大雪山国立公園の醸し出す自然豊かな環境と調和しています。

サホロリゾート ベア・マウンテン

このクマ牧場は、札幌から道東自動車道で帯広に向かう途中の『トマムインター』で下車し、そこから北上した新得町にある『サホロリゾート』の中にあります。札幌から車で約2時間40分を要しますが、日高山脈の北端に位置する『佐幌岳(さほろだけ)』の麓にあります。このクマ牧場のキャッコピーは、日本初のクマの『サファリパーク』と銘打つ通り、北海道の自然を生きる野生の“ヒクマの放し飼い”が見られることが、他の施設と大きく異なります。サファリパークの面積が約15haと広大で、全周2重のフェンスで囲まれています。また、園内のクマたちの位置情報は、個体に取り付けたタグと無線LANによって捕捉されています。なお、サファリパークの中には人工池や洞窟が設営されていて、ヒグマたちの姿を窓越しに見られます。また、1.2kmのサファリパーク内をバスで周回できるため、野生のヒグマの生態を目の当たりにできます。そこが他のクマ牧場と違う大きなセールスポイントになっています。因みに、ここで展示飼育されているヒグマたちは、全て『登別クマ牧場』から移管された“12頭のオスのクマたち”で、自然環境下における“冬ごもり”の様子など学術研究の対象となっています。

むすび

自然界に暮らすヒグマは、強者であることの優位性によって“群れの中の順位”を形成します。しかし、熊牧場のように“大人のオス”を群れで飼育するとやはり『ボスグマ』が誕生しますが、単にケンカが強いだけではボスになることが出来ません。詰まり、強いだけでは他のクマたちの承認が得られることが無く、周りとの協調性も不可欠な要件の一つとのことです。集団生活をするようになると、ヒグマたちも人の世界と似てくるのかも知れません。