犬や猫の殺処分についての海外の現状はどうでしょうか。
イギリス、ドイツ、アメリカの場合を規制なども含めて、見ていくことにしましょう。

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殺処分ゼロを目指せ!イギリスの現状

イギリスで最初に動物に関する法律が定められたのは1822年のマーティン法で、劣悪な飼育環境下にあった畜牛を保護しようというものでした。これが発端となって1824年、動物虐待防止協会が初めて設立されています。後に王立となり、同国における動物保護の中核を担うことになっていきます。そのイギリスでは動物に対する虐待は通報を受けたら捜査されることになり、訴訟になることもあります。この捜査官はアメリカのアニマルポリスのようなもので、「虐待防止」ということにどれだけ重きが置かれているか、よく分かりますね。

動物のネット販売やオークションなども禁止(罰金あり)、ペットショップなどは自治体による許可制で繁殖制限が課されています。イギリスで伝統的に続いてきたキツネ狩りが禁止されたのが2004年ですが、動物保護は政治のイシューとして取り上げられることも少なくはなく、また「ペット」のみならず野生動物生物保全という観点から議論となることが多いようです。

公表されている数字を拾うと、2010年に施設に持ち込まれた犬は9-13万頭、猫は13-16万頭。犬に関しては自治体が7日間留置し、その間に譲渡や施設などへの移送が試みられますが施設に空きがないなどの事情によって引き受け先がないと処分されることになります。処分される犬猫の割合はおよそ10%、処分方法に関してはより人道的な考慮がなされているのは先に述べた通りです。

殺処分ゼロを目指せ!ドイツの現状

犬猫の殺処分がないと言われているドイツはどうでしょうか。
ドイツでは動物も人間と同じ「被造物(造られたもの)」であり、動物は物ではないという信条が民法に明記されています。

販売のための飼育や環境、個体の月齢などを細かく定めているドイツですが、ドイツでは犬を飼う場合には税金が課されます。これは市町村民税で、犬猫のための財源ではなく一般財源です。税率は自治体によって幅があり、2頭目からは税率が上がります。ただしシェルターから迎えた犬に対しては、1年間の免税措置が適用されます。

このように犬猫の飼育に対して厳格な規制を敷いているドイツですが、一方で野良犬や野良猫に対して狩猟による駆除を認めてもいます。公表された数字を見つけるのは難しいのですが、ノルトラインヴェストファーレン州において猫は1万頭超、犬は77頭駆除されたと言われています。殺処分と駆除のどこが違うのかという議論を呼びそうですが、ドイツの殺処分ゼロという数字の裏側にはこうした事実があることを念頭に置いておく必要があるでしょう。

殺処分ゼロを目指せ!アメリカの現状

より日本に近いと言われているアメリカでは1866年に動物虐待防止協会が設立され、1966年には動物福祉法が成立しています。アメリカにおいても仔犬工場と呼ばれる犬の繁殖飼育は問題視されつつあり、州レベルにおいて規制強化の方向へと動きつつあります。

また犬猫の店頭販売に対しても同様で、2012年にこれを禁止したロサンゼルスにおいて殺処分率が35%減少したという結果が見られています。アメリカでも問題視されている殺処分ですが、2012年-2013年に施設などへ持ち込まれた犬猫の数はおよそ600万頭から800万頭、その4割が殺処分されています。

日本と大きく異なる点は、シェルターの多さと多様性でしょう。一定期間内に譲渡先が見つからなければ殺処分するシェルター、殺処分を行わないシェルター、大小様々な団体が動いています。このシェルターに関しては「殺処分を行わないシェルターは受け入れを拒否しているから偽善だ」という声もあり、評価の難しいところです。

しかしイギリスにせよドイツにせよ、こうしたシェルターの運営は寄付金や遺贈などによって賄われており、経済状況が悪化すればたちまちその余波を被ることになるのはいずこも同じです。ドイツのシェルターが金融危機時に犬税の2割に相当する補助を求めたのも、むべなるかなというところでしょう。

殺処分ゼロを目指せ!虐待防止に光を当てる

日本でもようやく殺処分ゼロに向けて動き出した感がありますが、これらの国では「虐待防止」にも重点を置いていること、アニマルポリスまたは同等の組織や窓口があるという点は日本と大きく異なります。仔犬工場と揶揄される繁殖業者に対しても、アメリカでは法で縛る方向へと動きつつあります。

劣悪な環境でただただ仔犬を産むためだけに繁殖を強いるのも、大きな虐待と何ら変わるものではありません。日本で動き出したゼロへ向けての取り組みが犬猫を取り囲む諸問題に光を充て、実のあるものとなるよう見守りたいと考えます。