その1
その2

<その3

話は少々遡りますが、私たち家族が住んでいる家は、子犬を飼うことになった1年半くらい前に住み始めた新築1戸建ての家でした。日本経済のバブルが弾けた頃に土地を手に入れ建てた家ですから、当然のこと“猫の額ほどの広さ”しかありません。そんな訳で止むを得ず、1回に寝室と風呂、2階にLDKと和室を設(しつら)えた構造の家でした。詰まり、日常生活のなかにおいては“階段の昇り降りが必須条件”となっている訳です。
話を元に戻します。我が家にオスの『トイプードル』やってきて2か月くらい過ぎた頃に、やっとのこと呼び名が『ワンコ』から『パディントン』に決まりました。しかし、それから暫く経つと家族の中で呼び方が少しずつ変わっていきました。詰まり、フルネームでは“発音がしづらい”こともあって、妻は『パットン』と呼び、お兄ちゃんとお姉ちゃんは『パディー』と呼んでいました。そんな訳で、家を訪ねてくる親戚や知人たちも中々正確には覚えて貰えません。という経緯があって、これから先行きも彼は“3つの名前で呼ばれる”ことになりました。

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ドッグフードは大嫌い!

パディントンが家にやってきて3か月くらい過ぎたころ、妻から彼の食事に関する心配事の相談がありました。それは、朝夕2回の与えている食餌(ドッグフード)が、何時も“食べ残している”というものでした。私は、咄嗟に“量が多過ぎんじゃないの”と答えましたが、元々どれくらい食べるのが普通なのか判らないので、妻が納得できる筈もありません。そんな中、3回目のワクチン接種を受ける機会があったので妻が獣医さんに相談したところ、基本的にはドッグフードを与えるのが原則だが“少し痩せている”ので他のもので補ってあげても良いとの話だったようです。ワクチン接種の2~3日した後、妻が試しに“薄味のオジヤ”を作って与えたところ、彼はあっという間に完食し“お代わり”までしたとの話を聞かされました。実は、その日から彼の『規定食(ダイエット)』は、“お母さんの作る特性オジヤ”になり、しかも彼の生涯を通して“1日3食のオジヤ”の食習慣が続くことになったのです。何故なのかは判りませんが兎に角彼は“ドッグフードが大嫌い”だったのです。

階段昇降

『階段昇降』とは、クラブ活動のトレーニングメニューのことではありません。冒頭に触れましたが、我が家の主な居住区は玄関から“コの字型の階段”を昇った2階にあります。そのため、何時も家にいる妻とパディントンは、1日中1階と2階を何往復もしなければなりません。しかし、我が家にやってきた当初から、彼は家族の皆に“小脇に抱えられて”階段を昇降していたので、いつの間にか慣れっこになっていました。そのことに気付いていた二男が“階段昇降の調教を行おう”考え、犬を飼っている友人宅に“調教の基本”とやらを教わりに行ったそうです。何をどう教わったのかは判りませんが、友人宅から帰って食事を済ませてから、彼の階段昇降の調教に取り掛かり始めました。始めは家族全員が興味津々で眺めていましたが、やがて飽きてしまい1階の自室に戻ってしまいました。二男はその後皆が寝静まってからも、深夜まで階段昇降の調教に取り組んだようです。翌朝、妻が目覚めて2階の居間へ行った時は、パディントンは疲れていたらしく未だソファーの下に潜り込んで寝ていたそうです。妻はそっと忍び足で1階に降り、洗濯機を動かしてから何気なく背後を振り返えると、そこにはパディントンが大人しく“お座りの姿勢”で待機していそうです。暫く経ってから二男の話を聞くと、最初は“2階から降ろすこと”ばかりトライさせていたそうですが、1階にパディントンを連れて行き、階上から声を掛けるといとも簡単に登ってきたそうです。それを数回繰り返した後に彼を2階に連れて行き、階下で声を掛けると何の躊躇もなく直ぐに降りてきたとのことでした。

むすび

人間にとっても、階段を登るより降りる方がよほど難しいものです。何時も2階で生活していた私たち家族にはそのことに思いが至らなかったのでした。パディントンのゴッドファーザー(名付け親)である私としては、大変申し訳なかったと反省した次第です。パディントンは自力で階段昇降ができるようになってから、自由自在に家の中を闊歩するようになり、日増しに行動が活発になって行きました。そして、旺盛な食欲と相まってその頃から殊のほか『瞬発力』と『俊敏性』が目立つようになり、骨格も逞しく成長していきました。