2017年、全国の保健所で殺処分される犬や猫の数が初めて10万頭を切りました。
数字だけを見れば喜ばしいことですが、この減少の裏側を見つめてみると共に、数年来言われているペットブームの日本で起きている現実を直視しなければなりません。

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東京オリンピックまでに殺処分ゼロを目指す

東京都の小池知事が上記の目標を明言したこともあり、行政も今までの「処分」一辺倒だった対応を変えてきています。悪質なブリーダーや個人からの安易な持ち込みに対して拒否出来るようになったこともあるのでしょうが、保健所に持ち込む前に里親を探すなどの努力を促すなど変化してきています。

行政と保護団体の協力

保健所と保護団体の協力により、持ち込まれる犬猫を保護団体が引き受けるという取り組みがなされています。その結果の殺処分の減少なのですが、これをもって「殺処分ゼロを達成した!」と言うのは数字の誤魔化し以外の何ものでもないでしょう。確実に殺処分される犬猫に生きるチャンスが与えられたことは間違いなく、その点に関しては喜ばしいことなのですが、殺処分の対象になる犬猫の数が減ったわけではありません。
しかし一方で、何年も野良猫の避妊去勢に関わって来られている方々、地域猫というあり方を模索されてこられた方々などの地道な努力で確実に殺処分の対象が減っているという事実があることも忘れてはならないことでしょう。

殺処分がほぼない諸外国との大きな違いは?

犬猫の殺処分という場合に、よく引き合いに出されるのがドイツやイギリスの取り組みです。
ドイツではシェルターが充実しており、多くは寄付や遺贈によって賄われています。寄付や遺贈が集まるという背景には国民の保護意識の高さがあるでしょう。

またイギリスでは犬猫の安楽死は行われていますが、これは病気やケガが回復する見込みがない場合に行われ、日本のように二酸化炭素による窒息死をさせるのではなく、獣医師による注射によって安らかに最期の時を迎えるものです。

なぜ、イギリスやドイツはこのような取り組みができるのでしょうか。

大きな違いはペットの生体販売がないこと

そして最も大きな違いは、犬猫の生体展示販売の有無です。これが根本的な違いでしょう。ペットの販売は登録制で、様々な厳しい条件が課せられています。ペットの居住スペースや販売可能月齢など詳細に決められており、これをクリアしなければ販売することは出来ません。ですから人々がペットを求めたい時は、シェルターに足を運ぶことになります。犬猫は命あるもの、「販売」とはそぐわない。こうした意識が根底にあるのかもしれません。

犬猫の生体展示販売数は?

翻って、日本ではこの生体展示販売は野放しのままです。昨今は山中に遺棄された大量の犬猫が話題になったこともあり社会の監視が厳しくなっているとは言え、懸命に命を救う活動が行われている一方で蛇口に当たるこの部分が野放しで良いはずがありません。「カワイイ!」で衝動買いし、安易に遺棄する機会を防ぐためにも、絶対的に手を入れなくてはならない部分です。店頭に並ぶ犬猫はどうやって来るのか、売れ残った犬猫はどこへ行くのか、考えてみると背筋が寒くなります。

正確な数字は不明なのですが、こうした生体展示販売やオークションなどによって流通しているペットの販売数は年間70万頭とも言われています。「2017年に犬猫の殺処分数が10万頭を切った」と言う事実と照らし合わせても、これが異常な数字だということがよく理解出来ます。ここを何とかしない限り、真の意味での殺処分ゼロはあり得ないと言うのが現実なのではないでしょうか。

こうした現実を踏まえて、今私たちに出来ること

殺処分を前に助け出されて、災害救助犬として活躍した夢之丞のことはご存知でしょうか。熊本地震での活躍がニュースになったこともあり、その前身と併せて話題になったのは記憶に新しいところです。この活動を行っているのがNPO法人である「ピースウインズジャパン」で、活動としては新しいふるさと納税を利用したクラウドファンディングも行っています。

活動拠点である広島の殺処分数ワーストを改善すべく自治体からの全頭引き取りを行い、また全国規模でのシェルター建設や災害救助犬の育成など、目を見張る活躍ぶりです。ふるさと納税はその返礼品が話題になりますが、こうした活動を支援することも出来るのです。

ピースウインズ・ジャパン

また神戸に拠点を持つフェリシモが手がける「猫部」で販売するグッズは、その収益の一部が犬猫の保護などに充てられています。愛らしいグッズを購入すると同時に犬猫の保護活動に役立つ、一石二鳥の身近に出来ることですね。

フェリシモ・猫部

こうした団体への寄付やふるさと納税などを利用して支援するのが、私たちが出来る殺処分ゼロへの最短で現実的な道なのでしょうが、中にはこれでは物足りないという人がいるかもしれません。「行動でも支援したい!」という方は、こうした団体でボランティアをしてみるのもよいかもしれませんね。